お肉にくにく

アイドルオタクROM専です。興味深く読ませてもらってます。

カラフト伯父さん(バレ含みます)

本日14時、伊野尾慧主演舞台「カラフト伯父さん」を観劇した。
3日目ということもあってか、劇場内はわりと穏やかな空気に包まれていたように思う。
いわゆるジャニーズ関連の現場に向かうのは初めてのことであった。
Hey!Say!JUMPに落ちてから約半年後にFC加入、
さらに半年以上かかってやっと初現場までたどり着いた。
アイドルを観るために生きてるけど腰は重いし金は落とさないので、
ドルオタ落第生だななんて思っている。

私事ではあるが、5月はこの「カラフト伯父さん」とももクロ主演「幕が上がる」、
ふたつの舞台を何度か観る予定でいる。
震災の傷が残る神戸と静岡の弱小演劇部。
奇しくもほぼ同時期に開演されるふたつの舞台には、
作中で取り上げられた、重要な鍵となる作品が一緒という共通点がある。
その作品のモチーフは「銀河」。
そのテーマ通り、徹くんは星そのものだった。
神戸でたったひとりでいる彼は己の灯火だけで生きていて、
山場のシーンでは己の身を燃やしながらごうごうと光を放つ星であった。

フライヤー写真が発表されたとき、わたしは
「伊野尾さんはカーテン越しに微笑んでるイメージだから青空が眩しくて目に染みるなあ」と呟いた。かなり胸がギュッとなったのを覚えている。
画面や誌面で観る伊野尾慧さんは浮世離れした美しさで、いつも飄々としていて、本心を吐き出そうとさせるインタビュアーの質問も巧みにかわす。
アイドルに人生を捧げ、アイドルとして生きることに徹する人間こそ
わたしの中のアイドル像とも言えるので、
メディアでたびたび「自分はアイドルであることを常に念頭に置いている」といった発言をしていて、
ファンの前ではどこか非現実的な存在であり続けようとする伊野尾さんのモットーがたまらなく好きだった。
どんなに過去の文献を探っても真意は掴めず、ふわっとしていて、
喉に鈴がついているかと思うような声で、パラレルワールドに生きているような、そんな印象だった。
だからこそ、1年ほど前から「お芝居をする楽しさ」を見いだし始めた
伊野尾慧さんはほどなくして大きな転換期を迎えるのだろうな、
と新規ながらに感じていた。

そんなぼんやりとした憶測を高く飛び越えて、徹くんは青空よりも更に生々しく、熱く熱く輝いていた。
徹くんの爆発的な声は鼓膜を突き通って頭をぶるぶると震わせた。
からだ中に、徹くんが懸命に生きていることを浴びた。
圧倒的な生命力が全身から溢れている、誰のためでもない光がただただ美しかった。
山場では胸が詰まって息もできなかったが、アドリブなどで時折見せる笑顔は伊野尾さんの柔らかさそのもので、それと同時に徹くん本来の笑顔でもあると思うと涙が零れそうになった。

最後に鼻の奥で微かに煙ったガスの匂いが、
自分自身をジリジリ焦がしながら生きる徹くんを象徴しているようで胸がいっぱいになった。

伊野尾さんが持つパワー、生きる力にひたすらに圧倒された2時間だった。
これからも毎日のように公演は続く。
伊野尾さんは毎日自分を燃やしながら、己の力だけで輝く日々を、脈打つように刻んでいく。
カーテンコールでの鳴りやまない拍手は、徹くんから浴びた生命力がそのままパチパチと輝いているようで、眩しくて仕方がなかった。
画面で見たことのあるふにゃっとした笑顔を最後の最後に見せてくれた伊野尾慧さんにまた泣きそうになった。